
ISO14001において、「法的及びその他の要求事項」の特定と対応は、審査で最も注目されるポイントの一つです。このプロセスにおいて、行政書士は強力なサポーターとなります。
今回は、環境関連法令の調査方法から、法的リスクの低減、さらに法令の改正情報の管理までを解説します。
■ 環境関連法令の調査方法 ~どうやって調べる?~
企業活動に適用される環境法令は多岐にわたります。以下のような手順で調査を進めます。
1. 業種・業態の把握
- まず、対象企業の業種、事業内容、使用設備、排出物などを把握します。
- 例:印刷業、建設業、製造業、運送業 など
2. 関連法令の抽出
主な環境関連法令は以下の通りです。
法令名 | 主な規制内容 |
---|---|
廃棄物処理法 | 廃棄物の分別、処理、マニフェスト管理 |
水質汚濁防止法 | 排水基準、排水設備の管理 |
大気汚染防止法 | 有害物質排出、ばい煙、VOC等の規制 |
騒音規制法/振動規制法 | 工場や建設現場の騒音管理 |
化管法(PRTR法) | 有害物質の排出・移動量の届出 |
土壌汚染対策法 | 有害物質の漏洩管理・土地汚染防止 |
3. 公的データベース・通知の活用
- e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)
- 地方自治体の環境関連条例
- 環境省・各都道府県のホームページ
※行政書士は、これらの調査に精通しており、実際の許認可の現場で得た経験を活かした法令対応が可能です。
■ 行政書士が法的リスクをどう低減するか
企業にとって「知らなかった」では済まされない法令違反。行政書士の関与により、次のようなリスクを軽減できます。
① 見落としのない法令リスト作成
- 「包括的かつ実際の事業に即したリスト」を作成し、文書管理システムに組み込みます。
② 法的義務と任意規制の区別
- 審査対応では「法的義務」と「自主基準(業界ガイドライン等)」を整理して示す必要があります。
③ 許認可の状況確認と助言
- 必要な許可(例:産業廃棄物収集運搬業許可)が取得されているかを確認し、更新漏れを防ぎます。
④ 文書作成支援
- 環境関連の社内ルール、規程、管理マニュアルなどの整備をサポートします。
■ 法令の更新・改正情報の管理方法
ISO14001では「法的要求事項の変更を常に把握し、対応する体制」を求めています。
【実務対応例】
方法 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
官報・e-Govの定期チェック | 新旧対照表などで改正点を確認 | 行政書士の定期報告サービスが有効 |
業界団体の情報収集 | ガイドラインや解釈通知も入手可能 | 中小企業にとっては貴重な情報源 |
変更点の社内通知 | 担当部署に改正概要を通知、必要に応じて研修 | WordまたはPDFによる配布が一般的 |
文書の定期見直し | 手順書、環境マニュアルを定期的に更新 | ISOの内部監査でも確認対象 |
行政書士であれば、「情報収集+社内運用への反映」まで一括で支援可能です。
■ まとめ:法令対応こそ行政書士の専門領域
ISO14001では、環境側面だけでなく法令への対応が制度の柱です。行政書士の法律知識と書類作成力を活かすことで、企業の環境リスクと審査リスクを大幅に軽減できます。
ISO14001の運用において、法令調査や文書整備は手間と専門知識を要する作業です。現場の担当者が本業と並行してこれらをこなすのは、決して容易ではありません。
行政書士がコンサルタントとして関与し、必要な調査・法令対応・文書作成を一括支援することで、担当者の負担を大幅に軽減できます。
行政書士事務所リーフでは、ISO14001の新規構築だけでなく、ISO14001担当者、環境管理責任者および事務局の大変をお引き受けいたします。
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